会長あいさつ


看護図書館の利用状況の傾向から
  


 令和元年という節目の年に日本看護図書館協会会長の任を担う機会を与えていただきました。私が所属する北里大学看護学部は、広いキャンパス内でもとりわけ緑豊かな地に設立されております。看護学部の図書館から見える風景は、どこかほっとでき、毎日講義や実習で慌ただしく過ごしている学生にとって一息つける場所となっています。そんな環境も影響しているのか看護学部の学生だけでなく、他学部の学生が利用する姿もよく見かけます。また、病院と大学が近接しているので、現役の看護師が新着図書や古くからある成書を求めて、夜勤明けや勤務前にやってきます。看護は一生学習し続けることができる職業であると実感する瞬間です。
 近年、医療に関する書籍はデジタル化が進み、多くの書籍はスマートフォンやタブレットでも閲覧することができるようになりました。私が所属する臨床看護学の講座では、主に急性期や慢性期の実習を担当しますが、実習に先立つ演習では、学生が復習しやすいように視聴覚教材を取り入れるようにしています。実習では目から入る情報を的確に捉えて、言語化する能力が必要とされるので、学生がデジタル化された教材を用いて学習することには一定の効果があると感じています。同時に、自分の考えていることを言語化するためには、看護学が医療の中でどんな位置づけにあるのか、先人たちが残した書の中から看護とは何であるのかを、自分自身なりに整理しておく必要があります。そのためには、図書館にある膨大な成書に戻りながら、最新の文献を調べ、統合していく作業も欠かせないものとなっています。
 医療系の学生は日々心の中で患者の回復を願い、自身の知識や技術を積み重ねるという努力をしています。図書館はそんな学生にとっての学習の場であり、心の拠りどころであってほしいと願っています。
 また、図書館職員の皆様は、教員にとってかけがえのないパートナーです。図書の貸し出しや検索の傾向から、どの学年が何に困り、どんな書籍や情報を欲しているのか、リアルタイムで把握しているからです。図書館職員が教育理念や教育課程を理解し、教員とともに教育に携わってくださることが何よりの財産なのではないかと感じています。看護図書館は縮小の方向にありますが、当協会の活動を通してお互いの図書館が交流することで、その役割をいかんなく発揮できる機会になると思っております。今年度も皆様のお力添えをよろしくお願いします。


日本看護図書館協会会長  (北里大学) 小山 友里江